サイトで一番大きいのに計測されていないものを探す|収益源を金額順に並べる手順
引き継いだサイトの「今の実力」を見ようとして、ダッシュボードやアナリティクスの数字から読み始めると、サイトの事業規模を実際より小さく見積もります。並んでいる数字は、計測されているものだけだからです。
結論から書きます。サイトを診断するときは、記事やキーワードを見る前に、収益源を1枚に金額順で並べます。並べると、一番大きい収益源が、一番計測されていない状態で見つかることがあります。そこを計測に乗せないと、以降のリライトも内部リンクも、小さい収益源を基準に設計することになります。
この作業は、散らかったサイトをAIで作り変えるマニュアルの、診断の一番最初に置きます。計測漏れが残ったまま次の作業に進むと、「どの記事から直すか」の判断の基準が歪みます。
この作業で決まること
この作業が終わると、このサイトにある収益源の一覧と、それぞれが今いくら稼いでいるかが1枚のファイルに揃います。
- AdSense などの広告収益
- アフィリエイト(ASPごと)
- 自社の商品・サービスの売上
- 問い合わせや資料請求など、金額に換算できる成果
金額順に並べたら、各行に「今、月次で自動取得されているか」の印を付けます。印が付かない行があれば、そこが計測漏れです。印の付かない行の中で金額が一番大きいものを、次の作業で計測に乗せます。
前提:この記事の前に必要なもの
- AIに渡す4つの前提(戦略・今のデータ・判断の基準・禁止事項)
- Gmail など、各ASP・各広告ネットワークからのレポートメールが届いている受信箱
- サイトの管理画面にログインできる状態(売上やコンバージョンを確認するため)
Search Console や GA4 を先に整えたくなりますが、順番は逆です。まず収益源の全体像を1枚にします。計測の整備は、金額の大きい順に進めます。
AIに渡すもの
- 直近12か月の、各収益源の支払明細または月次レポート(PDF・CSV・メール本文のいずれでも可)
- 受信箱の中にある、ASP・広告ネットワーク・決済サービスからの定期メールの差出人の一覧
- サイトに貼られている広告タグ・アフィリエイトリンクの種類(AIが本番サイトのHTMLを読んで洗い出せます)
- 「APIのあるものだけでなく、メール本文に金額が書かれているものも集計対象にする」という指示
手順
- サイトに貼ってある収益の仕組みを全部書き出す
本番サイトのHTMLをAIに読ませ、広告タグ・アフィリエイトリンク・自社商品の導線をすべて列挙します。ここで漏らすと、以降の集計から永久に落ちます。
- 各収益源の過去12か月を取り込む
APIがあるもの(AdSense など)は取得スクリプトを書きます。APIが無いものは、受信箱に届いているレポートメールをパースします。メール本文にクリック数・成果発生数・承認報酬・未承認報酬が入っていれば、構造化データとして扱えます。
- 月次と、12か月の平均を両方出す
アフィリエイトの承認は月をまたぎます。単月で見ると、ある月は0円、翌月は数万円、と往復します。単月だけで判断すると実力を半分に見誤るので、平均の列を必ず置きます。
- 金額順に1枚のボードに並べる
収益源・月次・12か月平均・計測の自動化の有無、の4列です。1枚に収めると、どれが大きくてどれが計測されていないかが一目で分かります。
- 計測漏れを順番に自動化する
金額の大きい順に、取得スクリプトまたはメールのパーサを足します。手動の転記で埋める設計にはしません(理由は後述)。
- 月1回、ボードを再生成する
新しい収益源が増えたとき、ボードに自動で載る状態にしておきます。載らない収益源は、次の月にまた見落とします。
完了条件
- ☐ サイトに貼られている収益の仕組みが、1件も漏れずに一覧になっている
- ☐ 各収益源の、直近12か月の月次と平均が、1枚のボードに金額順で並んでいる
- ☐ 各行に「自動取得されているか」の印が付いている
- ☐ 印が付いていない行のうち、金額が一番大きいものに、次の着手が割り当てられている
- ☐ ボードは月1回、自動で再生成される
実際に起きた失敗
一番大きい収益源が、唯一まったく記録されていなかった
自分のサイトで、収益をデータで判断しようと思い、全部の収益源を1枚に並べたことがあります。AdSense は API があり、ダッシュボードにも3年分の月次が載っていました。一方、アフィリエイトの集計用に用意していたCSVは、ヘッダ行だけが作られて、2か月間1行も書かれていませんでした。
受信箱を見ると、ASPから毎日、成果レポートがメールで届いていました。本文にクリック数・成果発生数・承認報酬・未承認報酬が全部入っていました。過去7か月分をパーサで取り込んだ結果、承認報酬の月平均は AdSense の約2倍でした。
最大の収益源が、唯一まったく記録されていない収益源でした。それまで AdSense の数字だけで「月の収益はこの額」と考え、その前提でリライトの優先順位も決めていました。実際の事業規模は、見ていた数字の3倍近くありました。この誤差を抱えたままだと、小さい収益源の記事を磨くために、大きい収益源の記事を後回しにします。
「APIがあるかどうか」で計測対象を選ぶと、金額とつながらない
見落とした原因ははっきりしていました。計測対象を「APIがあるか」で選んでいたことです。APIがあるものから整えると、作業は進みますが、金額の大きさと計測の有無が関係なくなります。APIが用意されていない収益源ほど、放置される時間が長く、そして金額が大きい、ということが起きます。
手動の転記は、設計に含めると実行されない
当時、「週1回・5分の転記」を自分の手順に組み込み、ダッシュボードには「未入力であること」まで表示していました。設計としては誠実でしたが、2か月間で転記は0回でした。自分が「毎週やる」と決めた作業は、決めた時点では実行される前提になりますが、実行されません。手動の工程は仕組みに含めず、自動化できないなら「未入力であること」をアラートにします。
よくある質問
Q. GA4 や Search Console を先に整えたほうが早くないですか?
A. 整えてもかまいませんが、優先度は収益源の棚卸しのほうが上です。GA4 と Search Console は「どの記事が」「どの検索で」稼いでいるかを教えますが、サイト全体でいくら稼いでいるかは教えません。全体の金額を把握しないまま記事を直すと、金額の小さい領域に時間を使うことがあります。
Q. メールのパーサは、ASPごとに作り直すのですか?
A. 作り直します。差出人・件名・本文の構造はASPごとに違います。ただし1本書くと作業は定型になります。多くのASPが日次・月次でレポートメールを送ってくるので、APIが無い=自動化できない、ではありません。
Q. 計測漏れが見つからなかった場合は、どうしますか?
A. その状態を1枚のボードで確認できたこと自体が成果です。次の診断(カニバリや構造の問題)に進んでかまいません。収益源は増えるので、月1回のボード再生成だけは残します。
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- GSCとGA4のデータをAIに取らせる
- 監査ツールの件数を作業リストにしない
次の作業
- 全記事の台帳を作り、「今のサイト」をAIの判断の基準にする
- カニバリを検出して、統合・差別化を判定する(中規模修正)
- 1記事のリライトを外科手術に分解する(小規模修正)